年齢とともに筋肉量が減少し、それに伴って筋力や機能が低下する症状のことをサルコペニアと言います。この症状は、高齢者に多く見られ、骨粗鬆症や転倒、機能障害などのリスクを増加させます。
このサルコペニアで重要になってくるのが【酸化ストレス】というものです。酸化ストレスは体内でフリーラジカルやROS(活性酸素種)の過剰な生成が引き起こされることで生じる、細胞内の酸化ストレス状態を指します。この酸化ストレスは、細胞膜、DNA、タンパク質などの細胞内の分子を損傷することで、細胞機能の低下や細胞死を引き起こします。
簡単に言うと、酸化ストレスとは、様々なストレスや原因により、体内で活性酸素の産生が過剰となって、バランスが崩れた状態の事です。(いろんなものが原因で身体が濁ってくるような、さびてくるような状態です。めっちゃ感覚的な表現ですが)
そこで、サルコペニアと酸化ストレスの関係に注目が集まっています。実際、筋肉細胞内での酸化ストレスが、サルコペニアの進行に関与していることが知られています。
筋肉細胞には、エネルギーを生産するために重要な役割を果たすミトコンドリアがあります。しかし、年齢が進むと、ミトコンドリアの機能が低下し、酸化ストレスが増加する傾向があります。その結果、筋肉細胞が損傷し、筋肉量や筋力が低下することが考えられます。
一方、抗酸化物質の摂取や運動療法、栄養素の補給などの介入が、筋肉減弱症の予防や改善に役立つ可能性があります。抗酸化物質は、フリーラジカルやROSの除去に役立ち、酸化ストレスを減少させることができます。運動療法は、筋肉量や筋力を増加させ、筋肉減弱症の進行を遅らせることができます。また、栄養素の補給も、筋肉細胞の機能を改善することができます。
たとえば、酸化ストレスはアルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病、心血管疾患、がんなどの老化関連疾患にも関与しているとされています。これらの疾患は、老化によって発症する可能性が高く、酸化ストレスによって誘発された細胞死や炎症が病態の進行に関与すると考えられています。
このように、酸化ストレスは老化に伴って発生するさまざまな疾患に関与していることがわかっています。そのため、酸化ストレスに対する予防や治療は、高齢者の健康維持にとって重要な課題となっています。
酸化ストレスに対する予防や対処方法
- 食事改善:抗酸化物質を多く含む食品を摂取することで、酸化ストレスを軽減することができます。例えば、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、フラボノイドなどが含まれる果物や野菜を積極的に摂取することが大切です。
- 運動:適度な運動は、筋肉量や筋力を維持し、酸化ストレスを軽減する効果があります。特に、有酸素運動や筋力トレーニングは、高齢者の健康維持に効果的です。
- ストレス管理:ストレスは酸化ストレスを増加させる原因の一つです。ストレスを抱えている場合は、リラックスするための方法を見つけることが大切です。たとえば、深呼吸、ヨガ、マインドフルネス瞑想などが有効です。
- 睡眠:十分な睡眠をとることで、ストレスを減少させることができます。また、睡眠中には細胞の修復が行われるため、酸化ストレスを軽減する効果も期待できます。
- 医療的介入:酸化ストレスが高度に進行した場合には、医療的介入が必要となることがあります。たとえば、抗酸化物質のサプリメントや、抗酸化作用を持つ医薬品などがあります。
以上が、酸化ストレスに対する予防や対処、改善方法の一部です。ただし、これらの方法はあくまでも一般的なものであり、個人によって異なる場合があります。
ただ、よく抗酸化作用というのを耳にしたことはあると思います。結局活性酸素が溜まることにより、筋肉の発達を悪くしてしまうことが、老化による筋肉の発達速度に関わっているという事です。
ですので、老いを感じるようになってきた方は、抗酸化作用にも注目してもいいと思います。